福岡市のアロマサロン「かすみ屋」の日記。お手軽なアロマレシピや香りにまつわるお話をお届けします。
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2024/11/22/Friday
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ホーリーフ、カンファー、ラベンサラ
2008/04/18/Friday
mixiコミュのトピックに投稿したことの補足というか蛇足というか。ややマニアックの域に入りそうなお話を少しばかり。
ホーリーフという精油、あんまりメジャーではありませんが大抵の方は名前くらいはお聞きになったことがあるのではと思います。
学名はCinnamomum camphor、クスノキ科の植物で日本では芳樟(ホウショウ)という呼び名で知られています。リナロールを94%ほども含み、ローズウッドの代用として使用されることがあります。
大抵はこんな風に紹介されており、私もそういう風にご説明してきました。しかし今回の機会でつたないながらも調べてみましたところちょっと面白い事実がわかりました。なに小難しいこと言ってんのよ~という方と今更こんなこと?と笑う方にわかれると思うんですがまあご笑覧ください。
同じCinnamomum camphorでも、カンファーを多く含むものとリナロールの多いものがあるのですね。日本で有名なのは勿論ローズウッドの代用になるリナロールタイプなんですが、カンファーの多いCinnamomum camphorの精油というのも存在するのです。香りの印象は全然違うものです。
ということはケモタイプってこと?と思いましたが厳密には違うようです。ケモタイプというのは植物学的にまったく同じ植物であるにも関わらず、産地や生育条件などで化学成分(香り)の異なるものを指します。タイム・チモールとタイム・リナロール、ローズマリー・シネオールとローズマリー・カンファーなどがこれにあたります。
Cinnamomum camphorにはそれがちょっと当てはまらないのですね。この植物の場合は属名、種小名までは同じでもその先につく名前が変わってきます。なので同じ仲間ではあるけれども厳密に言えば違う植物である「亜種(または変種)」というものなのです。まあ「ケモタイプ」と呼んでも支障ないくらい近しい植物ではあるようなのですが。
「有用植物事典」(平凡社)を調べましたところ興味深い記述がありました。
基本種のクスノキは植物体に樟脳(camphor)を含むが、ホウショウでは樟脳をほとんど含まず、その代わりリナロールをクスノキの1.5倍含有する。(中略)第二次大戦前は台湾で年間300~400トンの精油が生産されていた。しかし樟脳含有量が低いため樟脳の原料のクスノキに混入すると樟脳収量を下げることから、樟脳生産の場では臭樟と呼んで敬遠されていた。
なのでもともとCinnamomum camphoraとしてはカンファータイプの方が基本種でメジャーだったってことなのでしょう。今はローズウッド問題のお陰かリナロールタイプの方が日本では有名になってしまいましたね。
しかし「臭樟」って…。かわいそうに。厄介ものっぽいニュアンスを感じます。樟脳を得るための生産なのですからリナロールがあっても仕方ないってのはわかるんですが。
フランス・アロマテラピー大全によりますと、それぞれの正式な学名は以下の通り。
カンファータイプ:Cinnamomum camphora Sieb.ssp.formosanum
リナロールタイプ:Cinnamomum camphora Sieb.var.glavescens
(他にもいくつか変亜種名があるようですがここではとりあえずこれだけ挙げておきます)
ちなみにローズウッドの代用という点に関してですが、確かに成分的には似ているものの、ホーリーフ自体の生産量があまり多くないためその役割を果たせるのだろうかという懸念もあるようです(「エッセンシャルオイル総覧2007」より)。そもそもローズウッド自体、現在は絶滅の危機を免れているという説もありますしね。どうなっていくのでしょうか。
さて、以上のことをふーんなるほど、と思いつつ調べてまいりまして、ふともうひとつ似たようなクスノキ科の精油があったよなと思いつきましたところ驚きの事実が!(大げさです)
ラベンサラの学名も同じCinnamomum camphoraなのですね。
(ラベンサラにはラヴィンサラ、ラヴィンツァラなどいくつか呼称がありますがここではラベンサラで統一します)
正式な学名はCinnamomum camphora Sieb.J.Perel。
何か変亜種名が存在するのではないかと思うんですがまだ確認できていません。主成分はみなさんご存知の通りティーツリーなどにも含まれる1.8シネオールです。
他にも採取部位によってかなり精油成分が違うのではないかという説もあり、まだまだこれから新事実が明らかになってきそうな気配なんですが現時点でわかっていることを大まかにまとめてしまいますと、
Cinnamomum camphoraにはカンファータイプ、リナロールタイプ、シネオールタイプの3種類の精油が存在するということです。
確実を期するためには購入の際に変種、亜種名まで確認の必要があるのでしょう。もしくは成分表見せてもらってどの成分が多いか確認するとか。あとは産地ですね。ホーリーフだと日本や台湾などアジア圏で、ラベンサラでしたらマダガスカルです。
まあ日本に入ってきているのであったら大抵はわかりやすくなっていると思うのですが、海外での購入とか個人輸入などの場合はちょっと注意が必要かもしれませんね。
ちなみにプリマライフではカンファータイプを「カンファー」、リナロールタイプを「ホーリーフ」という商品名で販売しています。ラベンサラは「ラビンツァラ」という商品名でしたが先日廃盤になってしまいました。いい香りだったのに残念。
ラベンサラに関しては、数年前に学名が他の植物と混同されていたことが判明したというややこしいいきさつがあり、現在でも若干の混乱があるようです。ここでそれを説明するとちょっと横道に逸れることになりまたかなり長くもなりますので割愛させていただきます。いつか機会がありましたら。
それにしても精油に関しては学名で確認するのが一番確実で手っ取り早いと思っていたのに…。この精油には通用しないみたいですね。ああ面倒。でもこういうことほじくりかえしていくのが醍醐味だったりします。
検索でヒットしたんですが、鹿児島の開聞岳香料園に香料用の芳樟の木があるようですね。ここには前から興味があったので是非一度訪ねたいと思っているのですが、福岡からでも相当に時間がかかるところのようでなかなか腰を上げることができません。なにしろ最南端の近くですから…。
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(もしできることなら1日1回。どこまでもあつかましい)
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ホーリーフという精油、あんまりメジャーではありませんが大抵の方は名前くらいはお聞きになったことがあるのではと思います。
学名はCinnamomum camphor、クスノキ科の植物で日本では芳樟(ホウショウ)という呼び名で知られています。リナロールを94%ほども含み、ローズウッドの代用として使用されることがあります。
大抵はこんな風に紹介されており、私もそういう風にご説明してきました。しかし今回の機会でつたないながらも調べてみましたところちょっと面白い事実がわかりました。なに小難しいこと言ってんのよ~という方と今更こんなこと?と笑う方にわかれると思うんですがまあご笑覧ください。
同じCinnamomum camphorでも、カンファーを多く含むものとリナロールの多いものがあるのですね。日本で有名なのは勿論ローズウッドの代用になるリナロールタイプなんですが、カンファーの多いCinnamomum camphorの精油というのも存在するのです。香りの印象は全然違うものです。
ということはケモタイプってこと?と思いましたが厳密には違うようです。ケモタイプというのは植物学的にまったく同じ植物であるにも関わらず、産地や生育条件などで化学成分(香り)の異なるものを指します。タイム・チモールとタイム・リナロール、ローズマリー・シネオールとローズマリー・カンファーなどがこれにあたります。
Cinnamomum camphorにはそれがちょっと当てはまらないのですね。この植物の場合は属名、種小名までは同じでもその先につく名前が変わってきます。なので同じ仲間ではあるけれども厳密に言えば違う植物である「亜種(または変種)」というものなのです。まあ「ケモタイプ」と呼んでも支障ないくらい近しい植物ではあるようなのですが。
「有用植物事典」(平凡社)を調べましたところ興味深い記述がありました。
基本種のクスノキは植物体に樟脳(camphor)を含むが、ホウショウでは樟脳をほとんど含まず、その代わりリナロールをクスノキの1.5倍含有する。(中略)第二次大戦前は台湾で年間300~400トンの精油が生産されていた。しかし樟脳含有量が低いため樟脳の原料のクスノキに混入すると樟脳収量を下げることから、樟脳生産の場では臭樟と呼んで敬遠されていた。
なのでもともとCinnamomum camphoraとしてはカンファータイプの方が基本種でメジャーだったってことなのでしょう。今はローズウッド問題のお陰かリナロールタイプの方が日本では有名になってしまいましたね。
しかし「臭樟」って…。かわいそうに。厄介ものっぽいニュアンスを感じます。樟脳を得るための生産なのですからリナロールがあっても仕方ないってのはわかるんですが。
フランス・アロマテラピー大全によりますと、それぞれの正式な学名は以下の通り。
カンファータイプ:Cinnamomum camphora Sieb.ssp.formosanum
リナロールタイプ:Cinnamomum camphora Sieb.var.glavescens
(他にもいくつか変亜種名があるようですがここではとりあえずこれだけ挙げておきます)
ちなみにローズウッドの代用という点に関してですが、確かに成分的には似ているものの、ホーリーフ自体の生産量があまり多くないためその役割を果たせるのだろうかという懸念もあるようです(「エッセンシャルオイル総覧2007」より)。そもそもローズウッド自体、現在は絶滅の危機を免れているという説もありますしね。どうなっていくのでしょうか。
さて、以上のことをふーんなるほど、と思いつつ調べてまいりまして、ふともうひとつ似たようなクスノキ科の精油があったよなと思いつきましたところ驚きの事実が!(大げさです)
ラベンサラの学名も同じCinnamomum camphoraなのですね。
(ラベンサラにはラヴィンサラ、ラヴィンツァラなどいくつか呼称がありますがここではラベンサラで統一します)
正式な学名はCinnamomum camphora Sieb.J.Perel。
何か変亜種名が存在するのではないかと思うんですがまだ確認できていません。主成分はみなさんご存知の通りティーツリーなどにも含まれる1.8シネオールです。
他にも採取部位によってかなり精油成分が違うのではないかという説もあり、まだまだこれから新事実が明らかになってきそうな気配なんですが現時点でわかっていることを大まかにまとめてしまいますと、
Cinnamomum camphoraにはカンファータイプ、リナロールタイプ、シネオールタイプの3種類の精油が存在するということです。
確実を期するためには購入の際に変種、亜種名まで確認の必要があるのでしょう。もしくは成分表見せてもらってどの成分が多いか確認するとか。あとは産地ですね。ホーリーフだと日本や台湾などアジア圏で、ラベンサラでしたらマダガスカルです。
まあ日本に入ってきているのであったら大抵はわかりやすくなっていると思うのですが、海外での購入とか個人輸入などの場合はちょっと注意が必要かもしれませんね。
ちなみにプリマライフではカンファータイプを「カンファー」、リナロールタイプを「ホーリーフ」という商品名で販売しています。ラベンサラは「ラビンツァラ」という商品名でしたが先日廃盤になってしまいました。いい香りだったのに残念。
ラベンサラに関しては、数年前に学名が他の植物と混同されていたことが判明したというややこしいいきさつがあり、現在でも若干の混乱があるようです。ここでそれを説明するとちょっと横道に逸れることになりまたかなり長くもなりますので割愛させていただきます。いつか機会がありましたら。
それにしても精油に関しては学名で確認するのが一番確実で手っ取り早いと思っていたのに…。この精油には通用しないみたいですね。ああ面倒。でもこういうことほじくりかえしていくのが醍醐味だったりします。
検索でヒットしたんですが、鹿児島の開聞岳香料園に香料用の芳樟の木があるようですね。ここには前から興味があったので是非一度訪ねたいと思っているのですが、福岡からでも相当に時間がかかるところのようでなかなか腰を上げることができません。なにしろ最南端の近くですから…。
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comments**
ありがとう
ありがとう。
ホーリーフについて何も知らずに、手持ちの本にも載っていなかったので使用前に知りたくてきました。
お店のたくさんの中から香りだけでその日(精神が病んでいました)選んできたこの精油に、色々訳あり(?)な精油だと知り余計好きになりそうです。
さっき見たサイトでは幹から取れた方(カンファータイプかな)には扱いに注意が必要とありました。
相性の良い他の精油は何かな、念の為注意が必要な事があるかなと思った事から調べたら思わぬ事が分かり為になりました。
ホーリーフについて何も知らずに、手持ちの本にも載っていなかったので使用前に知りたくてきました。
お店のたくさんの中から香りだけでその日(精神が病んでいました)選んできたこの精油に、色々訳あり(?)な精油だと知り余計好きになりそうです。
さっき見たサイトでは幹から取れた方(カンファータイプかな)には扱いに注意が必要とありました。
相性の良い他の精油は何かな、念の為注意が必要な事があるかなと思った事から調べたら思わぬ事が分かり為になりました。
Re:ありがとう
お返事遅くなり申し訳ありません!
コメントに気づくのが遅れました。拍手もありがとうございます。
ホーリーフはあまりメジャーではないので情報が錯綜しており混乱や勘違いを招くこともあるようですね。とてもよい香りの精油なので残念に思います。なるべくしっかりしたアロマ本やショップなどで情報を収集されることをお勧めします(自分で書いといて何ですが、サイトやブログでは間違いも多いので)。
機会があったら是非生の葉の香りに触れてみてください。精油とはまた違った爽やかな香りです。
コメントに気づくのが遅れました。拍手もありがとうございます。
ホーリーフはあまりメジャーではないので情報が錯綜しており混乱や勘違いを招くこともあるようですね。とてもよい香りの精油なので残念に思います。なるべくしっかりしたアロマ本やショップなどで情報を収集されることをお勧めします(自分で書いといて何ですが、サイトやブログでは間違いも多いので)。
機会があったら是非生の葉の香りに触れてみてください。精油とはまた違った爽やかな香りです。
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NAME: かすみはら(かすみ屋)
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