福岡市のアロマサロン「かすみ屋」の日記。お手軽なアロマレシピや香りにまつわるお話をお届けします。
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2024/11/21/Thursday
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六種の薫物
2012/02/12/Sunday
アップが遅くなってしまいましたが、少し前に開催された福岡大丸での京都店でお香を購入しました。
平安時代の代表的な薫香といわれる「六種の薫物(むくさのたきもの)」。
黒方、梅花、荷葉、侍従、菊花、落葉の6種類のお香のセットです。
本来は練香(アロマテラピーで作るクリーム状の香水ではなく、粉末にした香料を甘葛や蜜で練ったもの)として作るものですが、これは使いやすくお線香の形にしてあります。
中身は以下の通り。
●黒方(くろぼう):祝儀(四季)の香り、もっともオーソドックス
沈(沈香)、丁子(クローブ)、白檀(サンダルウッド)、甲香(巻貝の蓋の粉末)、麝香(ムスク)、薫陸(乳香とされるが異説もあり)
近世以降では祝儀用として四季を問わず使用されることが多くなったそうですが、もともとは冬の香り。
●梅花(ばいか):春の香り、梅の花
沈(沈香)、占唐(橘の一種、クロモジに似ている?)、甲香、甘松(ナルド)、白檀、丁子、麝香、薫陸、後世には梅の蘂(読み:しべ、おしべやめしべのこと)を入れることもあったとか。
●荷葉(かよう):夏の香り 蓮の花
甘松、沈、白檀、熟欝金(サフラン)、藿香(読み:かっこう、パチュリ)
安息香(ベンゾイン)を加えることもあったそうです。
●侍従(じじゅう):秋 秋風の感じ
沈、丁子、甲香、甘松、熟欝金が基本形、場合により占唐、麝香が加えられることもあり。この侍従については「もっともバリエーションに富む」と書かれていますから、作り手の創意工夫を盛り込む余地が大きい薫香だったのでしょう。
●菊花(きっか):秋・冬 菊の花の香
沈、丁子、甲香、薫陸、麝香、甘松、これらに何らかの形で菊の香りを加える工夫がなされるのが通例とのこと。現代では菊の香りについて取り上げられることはあんまりない気がしますが、このように名前を冠した薫香が作られるということからみて、当時はずいぶん愛されていたのでしょうね。このお香をかぐと寿命が延びるとされているそうです。
●落葉(おちば・らくよう):秋・冬
麝香、沈を若干増やしていたらしいこと以外は菊花とほぼ同じ処方とのこと。いよいよ冬が近づいた晩秋の頃のみ使われたものではないかと思います。
秋の香りが3つもあることに驚かされます。初秋、中秋、晩秋が同じ香りではいけなかったのですね。なんと繊細な感覚であることか!
立春までは黒方を焚いていましたが、今は過ぎてしまったのでもっぱら梅花です。今のところどちらかといえばオーソドックスで高貴な顔を持つ黒方の方が好みなのですが、梅花も上品でやさしく良い香り。荷葉や侍従なども早く香りを知りたいのですが、やっぱりその季節に焚いた方がより楽しめる気がしますので今はぐっと我慢中。
これらの薫香の名前をはじめて目にしたのはやはり「源氏物語」でした。
明石の姫君の裳着(今でいう成人)の式の祝いのため、源氏は六条院の夫人たちに依頼して薫香を作ってもらいます。それらの香を集め、源氏が弟宮である蛍兵部卿の宮とともに「薫物合(たきものあわせ)」をする場面が「梅が枝」の巻にあるのです。
※「薫物合」とは本来二組に分かれて優劣を競うもののようですが、ここでは簡単によいものを選んで判定するという形をとっています。
青空文庫で読めますのでお時間のある方は↓こちらから。現代語訳なのですんなり読めます。
梅が枝の章 与謝野晶子訳(青空文庫)
それから印象に残ったのは「湿りけのある今日の空気が香の試験に適している」というところ。雨の後の湿気のある空気に漂う薫香の香りはなんとも奥深く、大変よいものなのだそうです。アロマテラピーだとペパーミントのルームスプレーでも使ってじめじめを追っ払いましょう!となってしまうところですが。
尾崎左枝子氏は「源氏の薫り」の中で「薫香文化が日本で発達したのは、多湿という気候風土に支えられたところがあるのかもしれない」と述べられています。空気の乾燥しているヨーロッパで発展したアロマテラピーとは対照的ですね。
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マンツーマンのフリースクール制ですのでお仕事が忙しい方でもご自身のペースで勉強していただけます。トリートメントや精油の割引、アロマ本の貸し出し等各種特典もあり。
無料説明会も随時承っておりますのでお気軽にどうぞ。
詳しくはこちらから
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平安時代の代表的な薫香といわれる「六種の薫物(むくさのたきもの)」。
黒方、梅花、荷葉、侍従、菊花、落葉の6種類のお香のセットです。
本来は練香(アロマテラピーで作るクリーム状の香水ではなく、粉末にした香料を甘葛や蜜で練ったもの)として作るものですが、これは使いやすくお線香の形にしてあります。
中身は以下の通り。
●黒方(くろぼう):祝儀(四季)の香り、もっともオーソドックス
沈(沈香)、丁子(クローブ)、白檀(サンダルウッド)、甲香(巻貝の蓋の粉末)、麝香(ムスク)、薫陸(乳香とされるが異説もあり)
近世以降では祝儀用として四季を問わず使用されることが多くなったそうですが、もともとは冬の香り。
●梅花(ばいか):春の香り、梅の花
沈(沈香)、占唐(橘の一種、クロモジに似ている?)、甲香、甘松(ナルド)、白檀、丁子、麝香、薫陸、後世には梅の蘂(読み:しべ、おしべやめしべのこと)を入れることもあったとか。
●荷葉(かよう):夏の香り 蓮の花
甘松、沈、白檀、熟欝金(サフラン)、藿香(読み:かっこう、パチュリ)
安息香(ベンゾイン)を加えることもあったそうです。
●侍従(じじゅう):秋 秋風の感じ
沈、丁子、甲香、甘松、熟欝金が基本形、場合により占唐、麝香が加えられることもあり。この侍従については「もっともバリエーションに富む」と書かれていますから、作り手の創意工夫を盛り込む余地が大きい薫香だったのでしょう。
●菊花(きっか):秋・冬 菊の花の香
沈、丁子、甲香、薫陸、麝香、甘松、これらに何らかの形で菊の香りを加える工夫がなされるのが通例とのこと。現代では菊の香りについて取り上げられることはあんまりない気がしますが、このように名前を冠した薫香が作られるということからみて、当時はずいぶん愛されていたのでしょうね。このお香をかぐと寿命が延びるとされているそうです。
●落葉(おちば・らくよう):秋・冬
麝香、沈を若干増やしていたらしいこと以外は菊花とほぼ同じ処方とのこと。いよいよ冬が近づいた晩秋の頃のみ使われたものではないかと思います。
秋の香りが3つもあることに驚かされます。初秋、中秋、晩秋が同じ香りではいけなかったのですね。なんと繊細な感覚であることか!
立春までは黒方を焚いていましたが、今は過ぎてしまったのでもっぱら梅花です。今のところどちらかといえばオーソドックスで高貴な顔を持つ黒方の方が好みなのですが、梅花も上品でやさしく良い香り。荷葉や侍従なども早く香りを知りたいのですが、やっぱりその季節に焚いた方がより楽しめる気がしますので今はぐっと我慢中。
これらの薫香の名前をはじめて目にしたのはやはり「源氏物語」でした。
明石の姫君の裳着(今でいう成人)の式の祝いのため、源氏は六条院の夫人たちに依頼して薫香を作ってもらいます。それらの香を集め、源氏が弟宮である蛍兵部卿の宮とともに「薫物合(たきものあわせ)」をする場面が「梅が枝」の巻にあるのです。
※「薫物合」とは本来二組に分かれて優劣を競うもののようですが、ここでは簡単によいものを選んで判定するという形をとっています。
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梅が枝の章 与謝野晶子訳(青空文庫)
それから印象に残ったのは「湿りけのある今日の空気が香の試験に適している」というところ。雨の後の湿気のある空気に漂う薫香の香りはなんとも奥深く、大変よいものなのだそうです。アロマテラピーだとペパーミントのルームスプレーでも使ってじめじめを追っ払いましょう!となってしまうところですが。
尾崎左枝子氏は「源氏の薫り」の中で「薫香文化が日本で発達したのは、多湿という気候風土に支えられたところがあるのかもしれない」と述べられています。空気の乾燥しているヨーロッパで発展したアロマテラピーとは対照的ですね。
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NAME: かすみはら(かすみ屋)
SITE: Aromahausかすみ屋
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